2013年11月28日木曜日

2013年版 Macで使えるオーディオアナライザソフト

2007年の記事「Macで使えるオーディオ・アナライザ・ソフト」を数回に渡って更新してきましたが、内容が雑多になったのと、試用したり、新しく見つけたソフトもいくつかあるので、2013年版としてまとめ直します。

あくまで素人レベルなので、方針としては、
  1. 無料で使えるもの
  2. 有料でも Mac App Store で販売されているなど入手が容易なもの
  3. ある程度機能が揃っていて、調整が簡単なもの
  4. 開発が継続されているもの
を目安に探します。

Sonic Visualizer

  • ロンドン大学クイーン・メアリーのデジタルミュージックセンターが開発している音響解析ソフト。研究機関レベルで開発されているので、信頼性が高いです。
  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv2)です。
  • 音声ファイルの解析のみに対応しています。
  • 対応ファイル形式は WAVE、Ogg、MP3 です。
  • 解析ツールは、波形表示FFTスペクトログラムです。これらのツールは自由に組み合わせることができ、たとえば波形とスペクトログラムを上下に並べたり、スペクトログラムと FFT を見比べて経時的変化と瞬間的な周波数分布を観察するといったことが可能です。
  • レイヤー表示に対応しており、これらのツールを重ね合わせて表示することも可能です。
  • 波形やグラフ、グリッドの色を変えられます。
  • ラベルマーカーを書き込むことができます。
  • プレーヤー機能を備えており、音を聞きながら視覚的に把握することができます。
  • これらの特徴から、リアルタイムに音を観察するより、録音物をじっくりと仔細に研究する用途に向いています。
  • 利用できるプラグインは、Vamp、LADPSA、DSSI と、あまり一般的ではないものです。VST はライセンスの問題で原則不可(Audacity VST Enabler を介して部分的に利用可能)、Audio Unit は今後のアップデートで対応したいとのこと。
  • Mac 版のほか、Windows 版、Linux 版もあります。

LARA

  • ルツェルン音楽大学で開発されている音響解析ソフト。
  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv3)です。
  • マクロを組めるなど意欲的に開発されているようですが、パッケージ形式で配布されているのと、インストール時に /Users/Shared 以下に色々配置するようなので、試用はしていません。

Blue Cat's FreqAnalyst

  • Blue Cat's Freeware Plug-ins Pack II に含まれる FFT プラグイン。
  • 無償ソフトです。プラグインメーカーの宣伝用ですが、ユーザ登録や無償ライセンスキーの申請は不要で、ダウンロードするだけで使えます。
  • 形式は Audio Unit や VST だけでなく、RTAS や AAX にも対応するなど、かなり本格的です。
  • プラグインなので単体では動作せず、ホストとなるソフト(具体的には DAW など)が必要です。Audacity では利用できません。
  • Mac 版のほか、Windows 版もあります。

Voxengo SPAN

  • FFT プラグイン。
  • 無償ソフトです。こちらもプラグインメーカーの宣伝用ですが、ユーザ登録や無償ライセンスの申請は不要です。
  • 形式は Audio Unit と VST です。
  • プラグインなので単体では動作せず、ホストとなるソフト(具体的には DAW など)が必要です。Audacity では利用できません。
  • 無償の FFT プラグインとしてはかなり高機能で、ステレオだけでなくマルチチャンネルにも対応します。パラメータを細かく調整できるので、使いこなせば強力なツールに なります。ピークホールド付きレベルメーターやコリレーションメーターのほか、クリップカウント、ピークレベル、RMS の数値表示といった機能もあります。
  • Mac 版のほか、Windows 版もあります。

iSpectrum

  • 無償ソフトです。
  • 外部入力のみで、音声ファイルの解析はできません。
  • 解析ツールは、FFT、スペクトログラム、オシロスコープが揃っています。
  • 観察する周波数帯域の上限と下限を簡単に設定できます。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。

Spek

  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv3)です。
  • 音声ファイルの解析のみに対応しています。
  • 音声ファイルの処理に FFmpeg を使っているので、FFmpeg が読み込める形式であれば何でも対応しています( DRM で保護されたファイル以外はほとんど全ての音声データを扱えます)。
  • 解析ツールはスペクトログラムのみです。
  • Mac 版のほか、Windows 版、Linux 版もあります。

Electroacoustics Toolbox

  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。現在の価格は22800円とかなり高価ですが、内容はそれに見合ったものでしょう。
  • レベルメーター、FFT、スペクトログラム、オシロスコープなどの多種多様な解析ツールのほか、サイン波やホワイトノイズなどの信号発生機能も内蔵しています。
  • 特徴として、S/N比や高調波歪率の表示ができるようです。
  • OpenGL と Quartz を利用した美しい表示です。GPU パワーに余裕のある Mac の方が快適でしょう。
  • Audio Unit プラグインが利用できます。Generator カテゴリにも対応しているので、AUNetRecieve 経由で他のアプリケーションや、ネットワーク越しに他の Mac の音声出力を観察することもできそうです。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。
  • 一部機能制限付きで30日間の試用ができるようです。

SignalScope / SignalScope Pro

  • Electroacoustics Toolbox から一部の機能を外した下位バージョンです。いずれも Mac App Store で購入できます(→ SignalScope / SignalScope Pro)。
  • Pro の方は、Electroacoustics Toolbox と同様に AU の Generator カテゴリに対応しているので、AUNetRecieve を利用できます。また、プレーヤー機能を搭載しています。
  • ベーシック版は、外部入力の信号しか観察できないようです。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。
  • 一部機能制限付きで30日間の試用ができるようです。

Spectre / Spectre Starter

  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Spectre / Spectre Starter)。
  • レベルメーター、FFT、スペクトログラム、オシロスコープなどの解析ツールのほか、VU メーターを備えています。
  • Starter 版は初心者/学生向けという位置づけですが、コリレーションメーターが省かれている点は若干注意が必要です。
  • OpenGL と Quartz による美しい表示です。
  • Audio Unit の Generator カテゴリに対応しているので、AUNetRecieve を使って他のアプリケーションやネットワーク越しの観察も可能です。
  • 若干気になったのは、表示速度を上げても FFT の反応が若干遅いように感じました。体感上、数10ミリ秒の遅延があります。

AudioTest

  • 様々な種類の音声信号を生成します。
  • シェアウェアですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。

SignalSuite

  • 様々な種類の音声信号を生成します。
  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。
  • Audio Unit の Generator カテゴリに対応しており、プレーヤー機能を搭載しています。

その他

  • RME や MOTU のオーディオインターフェイスは、DSP 上にオーディオアナライザ機能を搭載しています。オーディオインターフェイスとしての性能も高いので、音響解析の目的で購入するのも1つでしょう。

オススメ

  • 録音済みの音声ファイルを分析したい
    • この場合は、Sonic Visualizer がイチオシです。レイヤー機能やラベルやマーカーを書き込めるのが非常に便利です。ただし、オシロスコープがないので、位相を見たりするのには向きません。他のソフトを併用する必要があります。
  • リアルタイムに音声を視覚化したい
    • 必要な機能と予算によりますが、SpectreSignalScope Pro が良いかと思います。AUNetRecieve が神で、AU プラグインに対応した他のソフトに AUNetSend を挿しておけば、これらのソフトが外部解析装置として機能します。ネットワーク越しの観察も可能です。
    • ホストとなるアプリケーション(DAW など)があるのであれば、SPAN も良いでしょう。FFT は小気味よく動き、かなり細かい設定も可能で、とても無償ソフトとは思えません。
  • 予算度外視で良いものが欲しい
    • Electroacoustics Toolbox が良いのではないでしょうか。高機能すぎて私には使いこなせそうにありませんが...
  • ちゃんとしたオーディオインターフェイスを持っていない
    • RME や MOTU のオーディオインターフェイスを購入するのが良いでしょう。スペクトログラムはありませんが、FFT とオシロは入っているので、リアルタイムの音響解析には十分役立ちます。
    • 内蔵の音声入力も使えますが、業務用として一般的なバランス信号を受け取ったり、測定用マイクを使ったりするには、オーディオインターフェイスが必要です。これらの製品を買えばプロレベルの音響解析機能が付いてくるので、これから始めるには好適です。

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