2013年11月28日木曜日

2013年版 Macで使えるオーディオアナライザソフト

2007年の記事「Macで使えるオーディオ・アナライザ・ソフト」を数回に渡って更新してきましたが、内容が雑多になったのと、試用したり、新しく見つけたソフトもいくつかあるので、2013年版としてまとめ直します。

あくまで素人レベルなので、方針としては、
  1. 無料で使えるもの
  2. 有料でも Mac App Store で販売されているなど入手が容易なもの
  3. ある程度機能が揃っていて、調整が簡単なもの
  4. 開発が継続されているもの
を目安に探します。

Sonic Visualizer

  • ロンドン大学クイーン・メアリーのデジタルミュージックセンターが開発している音響解析ソフト。研究機関レベルで開発されているので、信頼性が高いです。
  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv2)です。
  • 音声ファイルの解析のみに対応しています。
  • 対応ファイル形式は WAVE、Ogg、MP3 です。
  • 解析ツールは、波形表示FFTスペクトログラムです。これらのツールは自由に組み合わせることができ、たとえば波形とスペクトログラムを上下に並べたり、スペクトログラムと FFT を見比べて経時的変化と瞬間的な周波数分布を観察するといったことが可能です。
  • レイヤー表示に対応しており、これらのツールを重ね合わせて表示することも可能です。
  • 波形やグラフ、グリッドの色を変えられます。
  • ラベルマーカーを書き込むことができます。
  • プレーヤー機能を備えており、音を聞きながら視覚的に把握することができます。
  • これらの特徴から、リアルタイムに音を観察するより、録音物をじっくりと仔細に研究する用途に向いています。
  • 利用できるプラグインは、Vamp、LADPSA、DSSI と、あまり一般的ではないものです。VST はライセンスの問題で原則不可(Audacity VST Enabler を介して部分的に利用可能)、Audio Unit は今後のアップデートで対応したいとのこと。
  • Mac 版のほか、Windows 版、Linux 版もあります。

LARA

  • ルツェルン音楽大学で開発されている音響解析ソフト。
  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv3)です。
  • マクロを組めるなど意欲的に開発されているようですが、パッケージ形式で配布されているのと、インストール時に /Users/Shared 以下に色々配置するようなので、試用はしていません。

Blue Cat's FreqAnalyst

  • Blue Cat's Freeware Plug-ins Pack II に含まれる FFT プラグイン。
  • 無償ソフトです。プラグインメーカーの宣伝用ですが、ユーザ登録や無償ライセンスキーの申請は不要で、ダウンロードするだけで使えます。
  • 形式は Audio Unit や VST だけでなく、RTAS や AAX にも対応するなど、かなり本格的です。
  • プラグインなので単体では動作せず、ホストとなるソフト(具体的には DAW など)が必要です。Audacity では利用できません。
  • Mac 版のほか、Windows 版もあります。

Voxengo SPAN

  • FFT プラグイン。
  • 無償ソフトです。こちらもプラグインメーカーの宣伝用ですが、ユーザ登録や無償ライセンスの申請は不要です。
  • 形式は Audio Unit と VST です。
  • プラグインなので単体では動作せず、ホストとなるソフト(具体的には DAW など)が必要です。Audacity では利用できません。
  • 無償の FFT プラグインとしてはかなり高機能で、ステレオだけでなくマルチチャンネルにも対応します。パラメータを細かく調整できるので、使いこなせば強力なツールに なります。ピークホールド付きレベルメーターやコリレーションメーターのほか、クリップカウント、ピークレベル、RMS の数値表示といった機能もあります。
  • Mac 版のほか、Windows 版もあります。

iSpectrum

  • 無償ソフトです。
  • 外部入力のみで、音声ファイルの解析はできません。
  • 解析ツールは、FFT、スペクトログラム、オシロスコープが揃っています。
  • 観察する周波数帯域の上限と下限を簡単に設定できます。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。

Spek

  • 無償ソフト(オープンソース:GPLv3)です。
  • 音声ファイルの解析のみに対応しています。
  • 音声ファイルの処理に FFmpeg を使っているので、FFmpeg が読み込める形式であれば何でも対応しています( DRM で保護されたファイル以外はほとんど全ての音声データを扱えます)。
  • 解析ツールはスペクトログラムのみです。
  • Mac 版のほか、Windows 版、Linux 版もあります。

Electroacoustics Toolbox

  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。現在の価格は22800円とかなり高価ですが、内容はそれに見合ったものでしょう。
  • レベルメーター、FFT、スペクトログラム、オシロスコープなどの多種多様な解析ツールのほか、サイン波やホワイトノイズなどの信号発生機能も内蔵しています。
  • 特徴として、S/N比や高調波歪率の表示ができるようです。
  • OpenGL と Quartz を利用した美しい表示です。GPU パワーに余裕のある Mac の方が快適でしょう。
  • Audio Unit プラグインが利用できます。Generator カテゴリにも対応しているので、AUNetRecieve 経由で他のアプリケーションや、ネットワーク越しに他の Mac の音声出力を観察することもできそうです。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。
  • 一部機能制限付きで30日間の試用ができるようです。

SignalScope / SignalScope Pro

  • Electroacoustics Toolbox から一部の機能を外した下位バージョンです。いずれも Mac App Store で購入できます(→ SignalScope / SignalScope Pro)。
  • Pro の方は、Electroacoustics Toolbox と同様に AU の Generator カテゴリに対応しているので、AUNetRecieve を利用できます。また、プレーヤー機能を搭載しています。
  • ベーシック版は、外部入力の信号しか観察できないようです。
  • OS 10.9 Mavericks に対応済みです。
  • 一部機能制限付きで30日間の試用ができるようです。

Spectre / Spectre Starter

  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Spectre / Spectre Starter)。
  • レベルメーター、FFT、スペクトログラム、オシロスコープなどの解析ツールのほか、VU メーターを備えています。
  • Starter 版は初心者/学生向けという位置づけですが、コリレーションメーターが省かれている点は若干注意が必要です。
  • OpenGL と Quartz による美しい表示です。
  • Audio Unit の Generator カテゴリに対応しているので、AUNetRecieve を使って他のアプリケーションやネットワーク越しの観察も可能です。
  • 若干気になったのは、表示速度を上げても FFT の反応が若干遅いように感じました。体感上、数10ミリ秒の遅延があります。

AudioTest

  • 様々な種類の音声信号を生成します。
  • シェアウェアですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。

SignalSuite

  • 様々な種類の音声信号を生成します。
  • 有償ソフトですが、Mac App Store でも購入できます(→ Mac App Store リンク)。
  • Audio Unit の Generator カテゴリに対応しており、プレーヤー機能を搭載しています。

その他

  • RME や MOTU のオーディオインターフェイスは、DSP 上にオーディオアナライザ機能を搭載しています。オーディオインターフェイスとしての性能も高いので、音響解析の目的で購入するのも1つでしょう。

オススメ

  • 録音済みの音声ファイルを分析したい
    • この場合は、Sonic Visualizer がイチオシです。レイヤー機能やラベルやマーカーを書き込めるのが非常に便利です。ただし、オシロスコープがないので、位相を見たりするのには向きません。他のソフトを併用する必要があります。
  • リアルタイムに音声を視覚化したい
    • 必要な機能と予算によりますが、SpectreSignalScope Pro が良いかと思います。AUNetRecieve が神で、AU プラグインに対応した他のソフトに AUNetSend を挿しておけば、これらのソフトが外部解析装置として機能します。ネットワーク越しの観察も可能です。
    • ホストとなるアプリケーション(DAW など)があるのであれば、SPAN も良いでしょう。FFT は小気味よく動き、かなり細かい設定も可能で、とても無償ソフトとは思えません。
  • 予算度外視で良いものが欲しい
    • Electroacoustics Toolbox が良いのではないでしょうか。高機能すぎて私には使いこなせそうにありませんが...
  • ちゃんとしたオーディオインターフェイスを持っていない
    • RME や MOTU のオーディオインターフェイスを購入するのが良いでしょう。スペクトログラムはありませんが、FFT とオシロは入っているので、リアルタイムの音響解析には十分役立ちます。
    • 内蔵の音声入力も使えますが、業務用として一般的なバランス信号を受け取ったり、測定用マイクを使ったりするには、オーディオインターフェイスが必要です。これらの製品を買えばプロレベルの音響解析機能が付いてくるので、これから始めるには好適です。

2013年11月20日水曜日

iTunes Store と Amazon MP3 の音質比較

近、CD は発売せずに iTunes Store や Amazon MP3 のみで楽曲を販売するアーティストが増えています。CD をプレスするのはコストがかかるので、「売り出し中」のアーティストの場合、こういったダウンロード販売で様子を見て、売れ行き好調なら本格的に CD デビューさせよう、ということなのかも知れません。あるいは、中間業者が減ってアーティスト自身の収入に直結しやすい、ということもあるかも知れません。

iTunes Store と Amazon MP3 は、いずれも DRM フリーで高音質をアピールしていますが、実際のところはどうなのか、後学のために両方で同じ楽曲を購入して比較してみました。なお、使い勝手( iTunes Store なら iPhone で便利などの)に関しては度外視して、純粋に音質だけ比較しています。

入した楽曲は、スウェーデンの新進メロディックメタルバンド Misth の Rise of a New Day です。いちおう Web Shop があって CD も販売しているようなのですが、あまりまともに機能しているフシがありません(所在地とか電話番号とかテキトーだし...)。米 Amazon.com を始め海外の通販も探しましたが、CD は入手困難のようです。

較方法は、
  1. ファイルサイズやエンコードの違いを比較する。
  2. スペクトラムとスペクトログラムで視覚的に比較する。
  3. 実際に聞いて、聴感により比較する。
という三段構えで行います。「2」は公正を期す意味とともに、一見して違いが分かりやすいためです。「3」は、「1」や「2」で明らかになった違い(あるいは顕著な差がないこと)が聴感に影響しているのかを確かめる意味とともに、何と言っても実際に聞いて心地よい方が偉い(?)ためです。

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Facebook でリアル友人から「先に聴感テストした方が良かったんじゃない?」とコメントをもらったので、少し補足を。

確かに、最初にデータや数値を見てしまうと「きっとこういう音だろう」と先入観を持ってしまう危険はあります。このようなバイアスを避ける最良の(そして唯一の)方法は、ブラインドテストです。つまり、今どちらのファイルを再生しているのか、聞く人には分からないようにしてテストすることです。

今回、私は1人でテストしているので、ブラインドテストができませんでした。どちらがどのような音かは分からないものの、どちらを聞いているかは明らかなので、少なくとも「違うものを聞いているというバイアス」は避けられません。また、どちらも圧縮されていると知っているので、「CDよりは劣るだろうというバイアス」も避けられません。


今回の比較は、どちらかというと技術的関心から行っています。すでに何らかのバイアスがかかっている私の聴感に基づく評価より、公明正大に客観的な比較をした方が良かろうという趣旨です。

純粋な聴感テスト(たとえば無圧縮と高ビットレートの圧縮で確実に聞き分けられるか)にも興味はあるので、これはこれで、いずれテストする機会を設けたいですね。
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1. ファイルの比較
iTunes Store で購入した楽曲ファイル(→ iTunes Store へのリンク。試聴できます)は、AAC 268kbps でした。公式には iTunes Plus は AAC 256kbps となっているので、これより若干ビットレートが高いことになります。可変ビットレート ( VBR ) を採用していることによる「ブレ」でしょう。価格は1曲当たり250円です。

正確なデータ量は、13,339,968バイトでした。

Amazon MP3 で購入した楽曲ファイル(→ Amazon.co.jp へのリンク。試聴できます)は、MP3 287kbpsでした。公式には 256kbps VBR となっているので、こちらも若干高いことになります。価格は1曲当たり150円ですが、Amazon.comでは $0.99 になっています(これに限らず、Amazon.com の方が全般に安いです)。

正確なデータ量は、13,914,535バイトでした。

2. スペクトラム、スペクトログラムの比較
まず、iTunes Store で購入したファイルです。ソフトは Sonic Visualizer を利用しました。上段が波形図、中段がスペクトラム、下段がスペクトログラムです。

スペクトラムは右へ行くほど周波数が高くなり、右端で約 20kHz です。カーソル位置(上段・下段の中央にある縦棒の位置)での周波数分布を表しています。その下部に鍵盤状のメモリがあり、中央付近の紫色の鍵盤が中央ハ(約 260Hz )です。灰色の鍵盤がオクターブ違いのハ音を示しています。

スペクトログラムは上へ行くほど周波数が高くなり、上端で約 20kHz です。横方向は波形図と一致していて、楽曲の25秒〜1分35秒にかけての周波数分布の変化を表しています。

これだけ見ると、低域から高域までスムーズに収録されており、不自然なところはほとんど見当たりません。そこで、参考までに、全く別のアーティスト Amaranthe の楽曲 Amaranthin のデータと比較してみましょう。こちらは CD から取り込んだ無圧縮のもので、ジャンルは同じく北欧系のメロディックメタルです。

マスタリング等が異なるので一概には言えませんが、比べてみると無圧縮との差は歴然としています。スペクトラムで見比べると、4kHz 前後まではほとんど差がありませんが、上の AAC のグラフでは 4〜6kHz 付近(紫色の鍵盤から数えて右に4つ目)でなだらかに減衰し、そこから 18kHz 付近まで一定で、20kHz にかけて減衰しているのが分かります。また、スペクトログラムで見ても、AAC の方は中高音の色が薄くなっているのが分かります。

次に、Amazon MP3 で購入したファイルです。

正直、ここまで差があるとは思いませんでした。4〜6kHz にかけていったん落ち込み、そこから 18kHz 付近まで一定している点は、iTunes Store の AAC と良く似ています。しかし、一見して明らかなように、その先がバッサリ切り落とされています。スペクトログラムの方に矢印を引いた通り、18kHz で完全に切れ落ちています。また、部分的に 16kHz で切れているのも分かります。

仔細に見ると、スペクトラムの「ヒゲ」の大きさや形も、微妙に違う部分があります。また、スペクトログラムの方で見ると、色の濃さという意味では、iTunes Store よりも Amazon MP3 の方が濃いように見えます。

+-----+ [2014/02/05改訂] +-----+
この意味を少し考えてみると、4kHz というのは人間の聴覚にとって1つの重要な基準になっています。1つは、アコースティック楽器の基音の最高音がおおむね 4kHz という点です。たとえばピアノの最高音の基音は、約 4200Hz です。また、日常生活における聴力という意味でも、4kHz は難聴の1つの指標になっています。このことから、圧縮する場合でも 4kHz まではできるだけ残しておくことが必要と判断されている、と推察できます。

→ 後日、 CD 相当のファイルと比較 したところ、4〜6kHz 付近の「棚」は制作段階から存在するもので、圧縮に伴うものではなさそうです。
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一方、人間の解剖学的な意味での可聴帯域の上限は 20kHz 程度と言われていますが、実際には 15〜16kHz 辺りで頭打ちになる人が多いようです。Amazon MP3 で 18kHz(場所によって 16kHz )以降がバッサリ切り捨てられているのは、これに基づくものでしょう。「大半の人に聞こえない音」なので潔く切り捨ててしまって、少しでも容量を削減したい(効率的に使いたい)という訳です。Amazon MP3 の方が、「色が付いている範囲では濃く見える」というのも、高域を切り捨てた分、より密度を上げられた結果だと推察できます。

3. 音を聞いてみる
上で視覚化して比べてみましたが、これだけでは実際の良し悪しは断定できません。結果的に、耳で聞いて心地よければ、スペックで劣っていても問題ありません。

iTunes Store の AAC は、聞き始めた瞬間に大人しい音だと感じます。刺々しさがなく、悪く言えば霞がかかったようなモヤモヤ感があり、良く言えば中音域の充実した芯のある音です。音場はさほど広くなく、少し箱庭的な雰囲気があります。

Amazon MP3 の方は、一転してメリハリのある音です。良く言えばクリアですが、むしろ音の終わりの減衰の仕方が不自然に聞こえます。スーッと消えていくのではなく、ある瞬間を境に忽然と消えてなくなるので不気味です。特に、シンバルなどの金物は壊滅的で、シンバルの種類の違いや叩く部分の違いが全く分かりません。音場は、広いというより左右に分離していて、空中分解している感じです。

ちなみに、上の YouTube の動画の音は、それぞれの「悪いとこ取り」みたいな音です。

4. 結論
Amazon MP3 も、それ単体で聞けば「聞けなくはない」音です。少なくとも、YouTube の音とは比較にならないほど良いと言えます。ポータブル用と割り切って、かつ、Android などの Apple のサービスが利用できない端末であれば、十分選択肢としてあり得ます。

しかし、今回の比較に関する限り、iTunes Plus の音には及ばないと言わざるを得ません。こちらも一聴して「ああ、圧縮された音だな」と分かるものですが、全体的にソツなくまとまっています。Amazon MP3 に比べて1曲当たり100円も高いですが、アルバム単位で買えば10曲1650円なので、あまり大きな差はありません( Amazon MP3 だと10曲1500円)。

どちらも不可逆圧縮なので音質を語るレベルではないと言ってしまえばそれまでですが、現実問題として CD がなくダウンロード販売のみというアーティストが増えているので、少しでも音質の良い方を選びたいところです。高音質というと e-onkyo music などの「ハイレゾ」を謳うダウンロード販売サイトもありますが、そもそも品揃えが悪すぎるので論外です。

今回の結果を踏まえて、今後ダウンロードで購入するときは基本的に iTunes Store を使っていくことにしますが、フォーマットに変化があったときは随時チェックしていこうと思います。

+-----+ [2014/02/05追記] +-----+
本文中でも書きましたが、後日、CD 相当の FLAC ファイルをダウンロード販売で購入して、再度比較し直しています。→ 「 続・iTunes Store と Amazon MP3 の音質比較
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2013年11月13日水曜日

USB端子の振動防止スペーサー

年の8月末頃から、オーディオケーブル類で有名な SAEC から USB-FIT なる製品が発売されています。いわく、「SAECのUSB-FITはUSB端子に取付け、少しでも振動を減少させ、音質を改善させます。USB-FITを取付る事でS/N比を改善させよりクリアな音をお楽しみ頂く事が出来ます。」だそうです。

ころで、考えてみればUSB 端子の隙間って機器やケーブルによって少しずつ違うはずです。 かなり狭いものもあれば、「これ、ちゃんと刺さってないんじゃない?」と思うほど空いてるものもありますね。USB-FIT は厚みが1種類なので、当然、使うことで差込みが浅くなるものも、使ってるのに隙間が残るものも出てくるはずです。しかも、使うのはせいぜい1個か2個、USB-FIT は10個入り( A 端子用、B 端子用が5個ずつ)なので、まず余るでしょう。

ゃあ作っちゃえという訳で、シリコーンシートやコルクシートで DIY してみました。

意するもの
  • 材料
    • 厚さ0.3〜1.0mm程度のコルクシートやゴムシートなど
    • 両面テープや万能接着剤
  • 工具
    • カッターナイフとハサミ
    • カッターマット
    • アルミ定規
  • あれば便利
    • ノギス
    • ルーペ

ちょっと補足。上の記述だけで要点が分かった人は読まなくてもOK。

材料は、ホームセンターや100均で手に入るもので良いでしょう。コルクシートは、コルクの一粒一粒が細かいものの方がベターです。目が粗いと加工の際に崩壊しやすいです。シリコーンゴムは接着性が悪い(普通の接着剤ではまず付きません)ので、適合する接着剤が入手できれば。

接着剤よりは両面テープをお勧めします。接着剤を薄く、均一に塗るのは結構難しいです。両面テープも様々ですが、一般的なアクリル系接着剤を使ったもので良いでしょう。基材(接着剤を塗る「芯」になっているテープ)も、紙や不織布よりアクリルの方が薄くなる傾向にあると思います。

カッターナイフは、細かい作業ができる刃厚の薄いものが良いです。定規は直線を切るときに使いますが、刃先が指の方に進まないように保護する意味もあります。木製定規はナイフの刃が引っかかって定規の上に乗り上げるので、かえって危険です。

細かい作業なので、ルーペ(手で持たずに固定できるもの)があれば便利です。厚みを測ったりするのにノギスを使えば、簡単で正確に測れます(0.1mmくらいの精度で十分。細かい目盛りを読むのが面倒ならデジタル式でも良いです)。

ってみる
0.5mmのシリコーンゴムシートです。今回のために買った訳ではなく、別の DIY 用に買った残りです。ネット通販を探せば、さまざまな色、厚さ、硬さのシートが売られています(このシートは、300mm * 300mmで1500円くらい)。USB ケーブルのプラグ部分は黒色が多いので、オレンジや緑、空色なんかを使うとワンポイントになってオシャレだと思います。白色のプラグなら紫なんかも良いかも?

これも同時買っていたシリコーンシート向けの両面テープです(300mm * 300mmで1000円くらい)。片方がシリコーン系接着剤、もう一方がアクリル系接着剤で、基本的にはシリコーンシートを金属やガラスに貼り付けるために使います。アクリル系接着剤の面を折り込んで、両面ともシリコーン系接着剤が出るようにして使いました。

シリコーンは、ほとんどの接着剤が使えません。むしろ、「接着剤で付かない」ことをメリットとして活用されています。シリコーンシートを使う場合は、こういったシリコーン用の両面テープか、シリコーンが接着できると明記された接着剤を使う必要があります。

いきなり出来上がり。現物合わせで、適当な厚みになるように重ね貼りして、適当に穴をあけるだけです。今回の A 端子の側は約1mmだったので、2枚貼り合わせてあります。

右は試作のコルクシート版。何か別の工作に使った1mmのシートの切れ端で、粒はやや粗めです。

ヒントと言うほどでもないですが、
  1. 材料は大きめに切って必要な厚さまで重ね貼りする。
  2. プラグの形、大きさに合わせて穴をあける。
  3. 外周を切って形を整える。
  4. 角を落とす。
という感じで作業すると良いでしょう。穴をあける際、必要な長さを一方向に切ろうとすると、ナイフの刃の角度の分だけ表面が長く切れる(裏面が短くなる)ので、真ん中で合流するように両端から切った方が良いです。幅が狭いので、コンマ数ミリ長く切っただけでも強度が落ちます。

こちらは B 端子側。今回は1.5〜2.0mmだったので、両面テープの厚み込みで3枚重ねにしてちょうど良いくらいでした。逆差し防止用の台形部分の加工が面倒ですが、ある程度沿うように作った方がしっかりします。

右は同じくコルクシートの試作品。たぶんダイソーで買った、片面に接着剤が付いたものです。上の A 端子用と比べてコルクの粒が若干細かいのが分かるでしょうか。2枚貼り合わせて約2mmにしてあります。便利なんですが、接着剤の質が悪いのか、ナイフの刃が驚くほどベタつきます...

使用例
MacBook Pro の USB ポートに刺さっています。2枚重ねになっているのが分かりますね。もともと噛み付きがしっかりしているので、あまり変わった感じはありませんが、遠目に見るとワンポイントになってオシャレ?です。

オーディオインターフェイス側。こちらは3枚重ねなのがさらによく分かります。B 端子はどの機器、ケーブルの組み合わせでも緩めで、ケーブルの重さに負けて斜めになってしまう場合が多いですが、スペーサーのおかげで真っすぐ刺さっています。

質は変わったのか?
個人的には、けっこう変わったと思いますね。試作品のコルクバージョンの方が明るい反面、低音のコシがなくなる感じ、シリコーンバージョンは悪く言えばちょっと抑圧感のある音、良く言えば角が取れて聞きやすい音です。素材を変えたり、厚みを最適化すれば、まだまだ改善の余地はありそうです。次はカーボンでも行っときますか。

静なって考えると、こんなもんで音質が変わるというのはプラシーボの可能性が高いです。まあ、そこは眉唾で実験してみるということで。騙されても100円ですからね。

かし、百歩譲って実際に音質が変わるとしても、振動が抑えられたのが理由とは限りません。振動を抑えるには機材とプラグの隙間に密着している必要がありますが、そうすると、何も付けていないときと比べて(ほんのわずかであっても)プラグが押し出されることになります。その結果、接点の接触状態も変わるでしょう。振動の抑制が唯一の理由とは言えません。

ちおう実験は成功?したので、時間を見つけて、素材を変えていろいろ試したいですね。カーボンも薄いシートならカッターナイフで切れそうなので、候補の1つです。セラミックも面白そうですが、加工が難しいかな。

+-----+ 追記 +-----+
でに発売前に自作してた人がいるのを発見。
[[ SAEC USB-FIT もどきを作ってみた ]]

+-----+ 追記2 +-----+
年前に購入して、あまり使ってなかった J1 Project の薄いシート(いまはラインナップになさそう)が見つかったので、切り刻んで作ってみました。パッと聞いたところでは、シリコーンにあったような抑圧感がなく、コルクほどパサパサした感じもなく、それでいて嫌みがなくて良い感じです。

の手の「制振グッズ」が余ってるなら、実験に使ってみても面白そうです。当たり前ですが、わざわざ買うようなもんじゃないです。もともと、サイズが1種類しかないのはおかしいし、効果も眉唾だから高い製品を買うんじゃなくて DIY で遊んでみよう、という趣旨なので、何1000円もするオーディオアクセサリを買うのは本末転倒です。

かし、あれですね。そのうち「カーボンで優れた制振効果を発揮!」とか、「制振合金を採用!」とか、「響きの良い貴重な材木を使って自然な響きを追求!」とか、怪しげな類似品が出てきそうですね・・・