2013年7月27日土曜日

Mac用の高音質プレーヤーに期待の新星: Vox

Mac用の高音質プレーヤーとしては、すでに Audirvana や Amarra などが有名になっています。また、 Mac App Store では BitPerfect 、 Fidelia 、 Decibel などが購入できます 。最も安い BitPerfect でも850円ですが、そこに風穴を開けるかもしれない期待の新星が現れたので、早速レビューします。

Vox は、基本的にはミニマルなインターフェイスを目指したプレーヤーソフトです。たったこれだけの超シンプルなインターフェイスですが、実はあまり期待していなかった音質面で、かなりイケてます。

このソフトの歴史を紹介しておくと、当初は2007年頃からフリーウェアとして配布されていた記憶があります。当時は、再生スピードやピッチを変えたり、リバーブなどのエフェクトをかけながら再生できる「シンプルで便利な」プレーヤーでした。配布サイトのアドレスが数年ごとに変わったり、バージョン0.2.7辺りでいったん開発が止まったかに見えたりと、必ずしも順調には見えませんでした。その後、0.3a(アルファ版)がリリースされ、Lion に対応したものの、Mountain Lion では上手く動作しなかったりして、しばらくこのソフトの存在は忘れていました。今回、0.99rc(リリース候補版)が突如現れ、高音質プレーヤーとして生まれ変わったようです。

初回は、ちょっとしたムービーが表示されます。
"Start" をクリックすると、Vox で再生するファイルの種類を設定する画面に変わります。ここで選択された種類の音声ファイルは、ダブルクリックしたときに Vox で再生されるようになります。
"Not Supported by iTunes" を選択すると左半分の FLAC から OGG までが、"All Audio Formats" を選択すると右端まで全部が対象になります。"Skip" を選べば飛ばせます。あとから設定することも可能です。

次はグローバルホットキー(他のソフトを使用中でも、ショートカットキーで Vox を操作する)の設定です。システム環境設定にインストールする Preference Pane をダウンロードするかどうか訪ねられます。必要なければ "Skip" しましょう。
これで設定ウィザードは終了です。"Play with VOX" をクリックするとプレーヤーが表示されます。ウィザードをやり直したい場合は、"Replay" をクリックすると最初に戻ります。
プレーヤーは素っ気ないですが、左下のアイコンをクリックするとプレイリストを表示できます。"iTunes Library" と表示されている通り、標準で iTunes のプレイリストを読み込むこともできます。
初期設定画面を見ると、いろいろできることが分かります。
"General" タブでは、Vox の一般的な動作を設定できます。だいたい意味は分かるでしょう。気づいた範囲では、"Stay on all spaces" が上手く機能しないようで、「チェックを入れた直後」はその通りに機能する一方で、いったん Vox を終了して機能し直すと機能しなくなる(チェックを外して入れ直すと機能する)ようです。
"Sources" タブにはこれと言って設定項目がありませんが、一定額を支払えばインターネットラジオも聞けるようです(未検証)。
"Audio" タブには、オーディオマニア御用達の機能が満載です。かいつまんで見ていくと...
  • Synchronize sample rate with application というのは、Vox が動作しているサンプリングレートに、オーディオデバイスの動作サンプリングレートを合わせる、という機能のようです。もちろん、デバイスが対応している 必要がありますが、たとえば44.1kHzと48kHzのファイルが混在していても、常にビットパーフェクトを期待できそうです。
  • Obtain exclusive access (hog mode) というのは、オーディオデバイスを Vox 専用に利用するということです。たとえば USB-DAC を繋いでいる場合、Vox で再生中の音楽は USB-DAC から再生され、他のソフトの音は内蔵オーディオから再生される、といった具合です。
  • BS2B というのは、"Bauer stereophonic-to-binaural" の略で、ヘッドフォンでステレオ再生する場合の頭内定位を改善する機能です。ヘッドフォンアンプで有名な "Chu Moy" タイプや "Jan Meyer" タイプなどがあります。
 ほかを飛ばして、"Labs" タブを見ると、一番下に "Load music file fully into memory"という項目があります。これは、音声ファイルを物理メモリに読み込む機能で、これも他の高音質プレーヤーソフトによく搭載されています。"Labs" というだけあって実験的な位置づけのようですが、16GBのメモリを積んだレティナMacBook Proでは特に問題なさそうです。

以上のほかに、Last.fm との連携、ショートカットキーの設定が可能です。

さて、注目の音質ですが、ぱっと聞いた感じでは Fidelia と同等か、やや劣るくらい、という印象です。低音の出方は Fidelia に似て弾むような感じですが、中高音はちょっと線が細く、シャリつくように思います。ベリーベストではないものの、BitPerfect よりは良いのではないでしょうか。

特に良いのは、これが 無料 だということです。同じく無料の Audirvana (free) は Mountain Lion では起動できないようなので、高音質プレーヤーの手始めに最適ではないでしょうか。

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Mac App Store でも配信されていますが 、現在、なぜかエラーが出てダウンロードできません。開発者サイトからはダウンロードできるので、当面、そちらを利用すれば良いでしょう。 現在は Mac App Store からダウンロードできるようになっています。

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その後、音が正常に出なくなるトラブルに見舞われましたが、設定を変えることで解決しました。 詳細はこちら

2013年7月8日月曜日

Mac Mini と MacBook Pro では音質が違う?

ややオカルトな話ですが、 Mac Mini (Mid 2011) と レティナMacBook Pro (Early 2013, 15") では音質が違うようです。

これまで、 Mac Mini は自宅用、 rMBP は外出用として使い分けてきたので横に並べて比較する機会がなかったのですが、ちょっとしたきっかけ(後述)で気になったので、聞き比べてみました。もちろん、使用したオーディオ I/F は、同じ Focusrite Forte で、再生ソフトも Fidelia 1.3.1 に統一してあります。再生したファイルも同じものです。 USB ケーブルも同じものを使っています。

結論から言うと、 rMBP の方が音質が良い ように思います。予想としては(特に根拠があった訳ではありませんが) Mac Mini の方が良さそうに思っていたので、これは意外でした。比べると、 Mac Mini の方はやや大雑把で細部が潰れる 印象があり、 rMBP の方が滑らかで解像度感が高く「静か」 な印象です。横に並べて聞き比べなければ分かりませんが、知ってしまうと気になります。マニアでない人にとってはほとんど違いが分からない(自称オーディオマニアでも分からない人は少なくなさそう)程度なので、問題ないと言えば問題ないのですが...

可能性としては、3つくらい考えられそうです。
  1. ただの思い込み(プラセボ)
  2. いわゆるジッタの差
  3. いわゆる「電源の質」の差
[1] について。今回、1台の Forte を繋ぎ換えて聞き比べているので、その間に数10秒の開きがあります。また、1人で実験しているので「いまどちらを聞いているのか」が分かってしまい、それらが心理的に影響している可能性は否定できません。

[2] について。 Mac 側の USB コントローラの違いやその電源周りなどの違いから、ジッタに差が出ている可能性があるでしょう。もっとも、これを検証する手段はない(個人ではジッタ測定器など買えないし、施設を借りるのも難しいし、いずれにせよ私には正確な知識・技術がない)ので、想像に過ぎません。

[3] について。今回、 Forte は USB バスパワーモードで使用しました(別の機会に書こうと思いますが、 AC アダプタを使うと音質が変わります)。このため、 Mac から供給される電源の質に差があって、これが影響していた可能性があります。もしこれが主な原因だとすると、
  • rMBP をバッテリで動作させているとき
  • バッテリ充電済みで AC アダプタで動作させているとき
  • バッテリ充電中
の3つでも音質が違う可能性はありそうです。

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今回、発端となったのは、 Fidelia をアップデートして音質が変わったように感じたこと です。先に rMBP の方をアップデートして「あれ、変わったかな?」と思ったので、バージョン1.2.1のままだった Mac Mini と聞き比べをして、1.3.1の方が良いという結論になりました。そこで、 Mac Mini の方も 1.3.1 にアップデートした訳ですが、そこで今度は「あれ、 Mac Mini と rMBP で違うかも」と気づいた次第です。

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さて、 もしこれが思い込み(プラセボ)ではないとすれば 、いろいろ問題が出てきます。

[1] まず、 Mac で PC オーディオ をやる場合、細かく言うと Mac 本体の選択も音質に影響する可能性がある、ということになります。 iMac や Mac Pro 分かりませんし、同じ Mac Mini でも 2010、2011、2012で差があるかも知れません。

[2] Mac を音楽制作に使う場合、レコーディング時に、記録されるデータに差が生じるかどうかは分かりません(おそらく変わらないと思います)。しかし、モニターする音には差が生じるということなので、結果的にミキシング、マスタリングに影響することは考えられます。

「知らない方が良かった」という類いの話で、実は単なる心理的問題という可能性も十分にありますが、なかなか楽しめる実験ではありました。