2012年5月6日日曜日

Fidelia 1.2.0 を国内最速 (?) レビュー

Fidelia のメジャーアップデートがあり、バージョンが 1.2.0 になりました。国内最速(当社調べ)でレビューします。

ちなみに、Mac App Store にはすでにレビューを投稿しているので、このニッチなブログを見て頂いている方はすでにそちらも読まれているかも...

まず、今回のアップデートの目玉は、
  1. アルバムアート表示に対応(ベーシック版でも可)
  2. メモリープレイバック対応(Advanced 版のみ)
  3. FHX ヘッドフォンプロセッサ(有料アドオン)
となっています。

[1]
アルバムアート表示は、プレイリストの左下に、控えめに表示されます。小さいので見逃しそうですが、「□の中に▲のアイコン」をクリックするとアルバムアートの表示枠がせり上がってきます。表示されるのは、再生中の曲のアルバムアートのようです。

[2]
メモリープレイバックは、Fidelia Advanced のユーザ専用の機能です。"Load audio file into physical memory" というのがそれで、曲データをあらかじめ物理メモリ上に読み出しておきます。

Audiofile Engineering では効能をハッキリと書いていないようですが、一般に言われているのは、(1) 音飛びの可能性を抑えること(特に NAS 上から読み出す場合など)、(2) ジッタの低減による音質の向上、です。

(2) についての真義のほどは不明ですが(HDD を換えたら音質が変わった、という人もいるようですが、ちょっとオカルトじみています)、(1) に関しては効果があったようです。従来、Fidelia では若干の音飛びを感じていましたが、アップデート後は気にならなくなりました。

[3]
FHX ヘッドフォンプロセッサは、マスタリングエンジニアの Devin Kerr という人が開発に携わっているようです。Fidelia Advanced とは別の有料アドオンで、Fidelia Advanced を購入していなくても利用できるようです。

"Speaker Angle" というのは、シミュレートされるスピーカーの角度を設定する項目でしょう。曲によって効きやすい/効きにくいものがあります。最適値も曲によって違いますが、20〜45度くらいが良いのではないでしょうか。

"Crossfeed" は、すでに一部のヘッドフォンアンプなどで採用されていますが、左右の音を微妙に遅れさせて合成するものです。スピーカーの場合、左の音は、壁や床に反射して少し遅れて右耳にも届きます。これが臨場感(音場)を高めているので、ヘッドフォンでもシミュレートしてみよう、という訳です。やり過ぎるとリバーブがかかったような音になるので、50%前後が良いかと思います。

"Equalization" は、おそらく、処理によって失われる(あるいは不必要に強調される)高音・低音を補うための機能と思われます。気持ち程度にブーストするのが良さそうです。

"Monitoring" は、ふつうに聴く分には不要ですが、ステレオ/モノラル切り替え、正相/逆相切り替え、チャンネル入れ替え、チャンネルソロを組み合わせられます。通常は "Mono: チェックなし"、"Swap Channels: チェックなし"、"Phase: In"、"Solo: Off" で使います。意味の分かる人だけ、切り替えて使えば良いでしょう。

さて、おそらく一番の目玉は FHX ヘッドフォンプロセッサでしょう。この手の機能は、得てして「わざとらしい」ものが多い気がしますが、その意味では優秀(わざとらしくない)だと思います。しかし、やはり音の細部が潰れるというか、失われた音があるように感じられます。

これは、特に、スピーカーのセッティングを追い込んでいてスピーカーの存在が消えるような音を出せている人や、ヘッドフォンの音はヘッドフォンの音と割り切れる人にとっては、けっこう気になると思います。どうしてもスピーカーには敵わないし、ヘッドフォンのメリットである「虫眼鏡で見るように、スピーカー以上に細部まで聞き取れる」部分がスポイルされるからです。

ジャンル的に言うと、ワンポイントステレオ録音のクラシックのように位相成分を豊富に含んだ曲は、けっこう効くように感じられます。Enigma や Era のようにコーラスを多用したポップス/ロックも良さそうです。意外とミニマル系も合うかも知れません。対して、マルチマイク録音のクラシックなどは、あまり合わない場合もあります。

4,300円(2012.5.6現在)の価値があるかと言われると、正直なところ「微妙」です。決して悪いものではありませんが、万人にとって "must buy"(ぜひ買うべき)とは言えないように思います。

FHX 機能は、しばらくいろいろ実験してみようと思いますが、現時点では積極的にはお勧めしない、という感じです。