2012年2月7日火曜日

Fidelia Advanced の詳細設定

せっかく 購入した ことなので、"Advanced" タブの設定について調べてみました。ディザについては iZotope の詳しい技術解説があるのですが、慣れない英語&専門用語頻出でなかなか読破できません...

ここに書いてあるのは、あくまで 個人的に調べたもの で、Fidelia の開発元である Audiofile Engineering が言っている訳ではありません。正確な情報は Audiofile Engineering の サポートページ で確認してください。


Audio device is exclusive to Fidelia
すでによく知られた (?) 機能ですが、いわゆる Hog mode (Exclusive mode) です。"Output" タブで選択したオーディオデバイスを、Fidelia 専用に割り当てます。これによって、他のアプリケーションや Mac OS X 自身が発する音を無視できるようになります。

一般的に言われているメリットとしては、
  1. 「興ざめな音を出さない」だけでなく、
  2. サンプリングレートの異なる曲ファイルが混在しているときに、再生ソフトがオーディオデバイスに送り出す際のサンプリングレート自動で切り替えることを可能にする、
  3. CoreAudio (Mac OS X の音声処理システム) の余計なプロセスを経ないことで高音質化に貢献する、
などが挙げられています。Audiofile Engineering では、[1] の点を目的としているようです。Decibel などは、オーディオデバイスのネイティブフォーマットで送り出せる点を挙げていますが、Fidelia では特に触れられていません。

Load audio file into physical memory
こちらも、すでに Decibel や BitPerfect、Audirvana などで実装されていた機能で、音声ファイルを再生前にメモリ上に読み込んでおくものです。バージョン 1.2.0 で搭載されました。

Audiofile Engineering では、特にそのメリットを説明していないようですが、Decibel ではディスクアクセスに伴うグリッチ(音飛び)を回避できる、とされています。実際、従来は SSD でさえ若干の音飛びがありましたが、アップデート後は解消されたように思います。

Dither Settings
ディザとは、(ここでは)リサンプリングの際に意図的にノイズを加えることで、その質を向上させる技術です。「ノイズ=悪者」というイメージがありますが、単純にリサンプリングした場合に比べて結果的に歪みを少なくすることが期待できます。従って、ディザの恩恵があるのは、リサンプリングをする場合だけです。 いわゆるビットパーフェクト再生の場合には、意味がありません

なお、ディザ自体は Advanced 版を購入していなくても機能するようです。Advanced 版を購入すると、その設定をより細かく指定できるようになります。

Shape
ディザで加えるノイズの形状を設定するようです(詳細調査中)。

Amount
ディザで加えるノイズの量を設定します(詳細調査中)。

Bits
"General" タブでディザのタイプを "Type I" にしたとき有効になります(詳細調査中)。

Auto Blanking


Minimize Peaks


Silence Harmonics


iZotope Resampler Settings
リサンプラーの設定を変更できます。これも、ディザと同じく、Advanced 版を購入していなくても iZotope 製リサンプラーは機能しているようです。

リサンプリングが発生するのは、Fidelia の場合、4つのケースがあります。
  1. Fidelia のデジタルボリュームを使う場合。
    1. この場合、音楽ファイルが16bit/44.1kHz、オーディオデバイスが44.1kHz動作の場合でもリサンプリングが必要になります。

    2. 問題なのは、 どこで音量調整するのが良いか ということです。具体的には、(1) オーディオデバイスに音量調整機能がない場合、(2) アナログボリュームがついている場合、(3) デジタルボリュームがついている場合、が考えられます。

      1.  の場合は Fidelia のボリュームを使わざるを得ないので、Advanced 版の恩恵があると考えられます。

      2.  の場合は、むしろ Fidelia 自身はビットパーフェクト再生にしておき、アナログボリュームで調整する方が良いかも知れません。つまり、Advanced 版は必ずしも必要ではありません。

      3. はちょっと複雑です。デジタルボリュームの場合はいわゆる「ビット落ち」の可能性があります。そうではなく、リサンプリングされるのであれば、上記のように歪みの問題があります。そこで、 オーディオデバイスのリサンプリングと Fidelia のリサンプリングどちらがより高音質か 、という話になりますが、この場合も、いちおう Advanced 版の恩恵があると考えて良いでしょう。つまり、オーディオデバイス側のデジタルボリュームは使わず、Fidelia で音量調整する訳です。

  2. VST/AUプラグインを使う場合。
    1. この場合もリサンプリングが行われるはずなので、Advanced 版の恩恵があるでしょう。

  3. アップサンプリングした場合。
    1. これは、オーディオデバイスが 96kHz 動作にしか対応していないようなケースです。たとえば、FOSTEX HP-A3 は USB コントローラに「24bit/96kHz 動作」としか記述されていないようで、Mac に繋ぐと強制的にアップサンプリングがかかります。従って、リサンプリングの質を上げることが音質向上につながります。

    2. また、仮にビットパーフェクト再生ができるとしても、リサンプリングした方が「好みに合う」のであれば、それも1つの手です。この場合も、Advanced 版の恩恵があるでしょう。

  4. ダウンサンプリングした場合。
    1. こちらは、3の反対です。たとえば、ハイレゾ音源をダウンロード購入したいけれど、持っている USB DAC は 24bit/48kHz までしか対応していない、といったケースが考えられます。
ということで、必ずしも Advanced 版が必要とは限らない訳です。Advanced 版の意味は 設定の詳細を自分で変更できる という点だけですから、かなりこだわって使いたい人向けの機能ですね。

Presets
あらかじめ、数種類のセッティングが登録されています。とりあえず、この中から選んで違いを確かめてみるのが良いでしょう。

Filter Steepness
ローパスフィルタの急峻さを決定します。いわゆるナイキスト周波数の問題で、たとえばサンプリング周波数を 44.1kHz とすると、その 1/2 である 22.05kHz より高い周波数の音はサンプリング(デジタル化)できません。それだけなら大した問題ではありませんが、22.05kHz より高い周波数の音は「エイリアス歪み」という歪みになります。そのため、あらかじめローパスフィルタを通してカットしておく必要があります。

当然ながら、できるだけ高い周波数まで通したいので、スパッと切れる急峻なフィルタを使いたくなります。しかし、急峻なフィルタを通すと「リンギング」が増えることになります。また、ソフトウェアの場合は計算によって実現するので、急峻であるほど計算量が増え、CPU 負荷が増える(動作が重くなる)ことになります。

Cutoff scaling
ナイキスト周波数を基準として、どの周波数からカットオフを始めるかを決めるパラメータのようです。たとえば、44.1kHz で "Cutoff scaling = 1.0" だと 22.05kHz、"0.9" だと 19.8450kHz という意味だと思います。数値が大きい方が周波数特性がフラットになる一方エイリアス歪みが増え、小さい方が歪みが減る一方低い周波数からカットされることになります。

Preringing
フィルタの急峻さが増えるとリンギングが増えます。このパラメータは、リンギングの出方を調整するようです。単純に言えば、(急峻な)フィルタを通したことによるリンギング(による位相のズレ)を補償するもの、という理解で良いのでしょうか。いまいち良く理解できていません。

"Preringing = 1.0" だと、プリリンギング、ポストリンギングの両方に均等に作用するリニアな位相フィルタが適用される、とあります。"0.0" に設定すると、プリリンギングを大きく補正できる反面、非線形の位相歪みが生じるようです。プリリンギングの補正は、パーカッションのような立ち上がりの速い音の場合に有効なようです。

どう使えば良いか?
おそらく、高サンプリングレートの曲ファイルをダウンサンプリングする場合(例えば 192kHz → 96kHz)と、低サンプリングレートの曲ファイルをアップサンプリングする場合(例えば 44.1kHz → 96kHz)とでは最適値が異なるでしょう。

また、曲によって、(フィルタのカットオフ周波数に近い)高音の含まれ方が大きく違うはずなので、理想的には曲ごとに設定を変えるべきなのでしょう。実際、スタジオ用途ではそういう使い方がされていると思います。

まずはプリセットをいろいろ試して、音質の変化を確かめるのが良いでしょう。バランスがとれているという意味では、"Gentle linear phase" や "Intermediate phase" が良いと思います。"Minimum phase" や "Ultrasteep linear phase" では結構クセを感じますが、曲によっては合うかも知れません。

売り物にするために使う訳ではないので、「聞いて良ければ全て良し」で気楽に使えば良いんじゃないでしょうか。

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